ユリーフのジェネリック、シロドシンの発売

 

このたび、ユリーフという前立腺肥大症の薬の特許が切れ、シロドシン(ユリーフの一般名)という名前でジェネリックが発売されました。ユリーフというのは前立腺が肥大した状態でも尿を出しやすくする薬の中でも強力な薬で、当院でも大勢の方に使っていた薬です。一足先にジェネリックがでていたハルナールのジェネリック、タムスロシンのほうが値段が安いので、まずこちらを使ってから効果が不十分なときはユリーフを使うというケースが多く見られていました。いまユリーフを使っている方々にはこれから暫くの間、変更を希望するかどうか声をかけていこうと思います。

新しく希望される方には患者さんの負担を軽くし、健康保険の(きびしい)財政に少しでも負担をかけないようにジェネリックの方から処方することをこころがけたいと思います。

あらためて頻尿について(2018年6月29日)たけしの家庭の医学の放送を受けて

今週(26日)にたけしの家庭の医学で頻尿の「新原因」膀胱の変形とアメリカで70%異常が改善した頻尿改善法というのが取り上げられました。膀胱の変形については、頻尿の患者につきMRIを施行してみると腹圧をかけたときに膀胱がさがる患者が多いことがわかった、というものでした。頻尿についてMRIを施行するというのは健康保険では認められていませんし、他の(造影剤やエコーを使う)方法で、そのような病態を持つ人がいる、ということは別に新しいことではない、と思います。現実にはもっとひどい膀胱変形が排尿困難につながることもあり、それを手術すると出にくくなってしまう、ということもあります。

また後半の70%が良くなる治療法というのは56人の患者を半分に分け、半分の方にヨガによる体操を取り入れたところ70%がよくなった、ということでした。この場合ヨガ以外の条件をそろえた対照群に比べてどれくらいよくなったか、というのが治療法の有効性を示す上で大切なのですが、残念ながら(というかテレビでは当然なのでしょうが)対照群の治療についてはなんらコメントはありませんでした。おそらくだいぶよくなっているのでしょうね。
頻尿、と一口に言っても、飲んでいる水分が多い多尿や、排尿困難によりタンクである膀胱がからにならなかったり、刺激があったり、たまったむくみが夜になって尿に変わったり、膀胱が緊張状態にあったりさまざまなものがあります。開業したばかりの頃まとめたページもありますのでさかのぼってみてもらえればと思いますが。
頻尿があった場合、それがどのような頻尿であるか?という考察なしに一律に効果のある治療などというのは考えにくいと思います。

梅毒の増加(2017年3月7日)

このコラムの項目を追加するのは久しぶりです。

数々の性病(性行為感染症)で多いのは圧倒的に尿道炎です(クラミジア尿道炎・淋病など)。その次はどうでしょうか。コンジローマというイボができる病気だったでしょうか。最近驚くのは梅毒の増加です。前はめったに見なかったのですが、ときどき診られるようになりました。感染して性器にイボができたり、全身に発疹ができたりする病気ですが、典型的なイボでなく、尿道炎で受診した際に性器に炎症を認めて、念のためにと調べた検査が陽性、というケースがちょくちょく有るようです。

私も気をつけて診ていきたいと思いますが、注意をしていただきたいと思います。不特定多数の方との性交渉、不特定多数の人と性交渉している人との性交渉を避けることに尽きると思います。

慢性前立腺炎のタイプ別の治療 (2011年6月29日)

慢性前立腺炎の症状は多彩で、

1)排尿時の不快感(残尿感なども含む)

2)排尿時の痛み

3)排尿困難

4)頻尿

などの代表的な症状の他、

5)会陰部痛(肛門と陰嚢の間の痛み)

6)睾丸痛

など、一見前立腺と関係のないようなところの症状もみられます(これらが前立腺炎の症状と考えられるのは、治療によりいっしょによくなったり、1〜4)の悪化とともに5)、6)も悪くなったりするからです。

前立腺炎の患者さんを診る時にはどの症状が一番強いかをよく聞いて、セルニルトンにどの薬を追加するのかを決めて、薬を処方しています。病気というのはひとつひとつデジタルに決まるものではなく、少しずつ重なり合っている部分があるのだと思います。基本は(最初に特に)ゆっくり話を伺うこと、受診のたびにましになっているか、いないのかを確認し、薬の増減、変更を検討していくことだと考えています。

多くの場合は1週間から2週間の処方とし、これで治ってしまうわけではないが、ましになるかどうかをみたいと話します。この期間でまったく効果のない場合は変更が望ましいし、多少でもましになっているようなら、根気良く服用を続けることで、さらに改善することが見込まれるからです。

糖尿病治療薬「アクトス」と膀胱癌(2011年6月14日)

ここ数日ヨーロッパの調査で糖尿病の治療薬であるアクトスという薬で膀胱癌の可能性が増えることがわかったと発表があり、数カ国では新規の患者さんには投与しないように、と沙汰があったそうです。調査の報告書を見たわけではないので詳細はわかりませんが、膀胱癌になる可能性が2割ぐらい上昇する、とのことのようです。

もともと膀胱癌になる可能性というのはさほど高いものではないので、それが2割上がるというのは健康に大きく影響するとはいえないのですが、それでも気持ちは悪いですよね。他に変わりになる薬があれば、無理に続けることもないのでしょう。替えられる薬は替えてもらいましょう。今後この薬が続いていくかどうかは、糖尿病のほかの薬に比べて有用性が高いかどうかにかかってくるのだと思います。

さて、すでにアクトスを長期に飲んでいて、膀胱癌が心配な方はどうしたらいいでしょうか。膀胱癌の検査で一番確実なのは膀胱鏡です。最近は痛みが少ないカメラもありますが、それでも念の為にするのはきつい、と思います。お勧めなのは膀胱に尿をいっぱいためての超音波(エコー)検査と尿の検査(血が出ているかどうかをみる)です。1年に1回、つらくない検査で、膀胱癌の有無を確認するのがいいように思われます。

内科の先生も超音波の検査はされますが、膀胱を観るということになると泌尿器科の受診がお勧めです。

慢性前立腺炎に使うべき薬は (2011年1月20日)

慢性前立腺炎に通常使われる薬は、抗菌剤(細菌を殺す薬)かセルニルトンという花粉から抽出した薬であることが多いと思います。明らかに感染を思わせる症状のあるひとには抗菌剤をだしますが、その他の場合はセルニルトンが治療の中心となると(少なくとも私は)考えています。

ただ前立腺炎は多様な症状を合併することが多いので、尿が出にくい人、残尿感のある人、痛みの強い人、不快感の強い人、その他の症状があれば、それらの症状に応じて薬を追加することになります。

花粉のエキスの抽出物というとそんなものが効くのかと思う方も多いと思います。海外で通用しない薬は信用できないという方も。しかし私も海外で診療はしていませんが、アメリカ人(ヨーロッパ系もアフリカ系も)にもオーストラリア人にも中国人にも韓国人にも有効でした。

職業的にも多くの医師(友人を含む)、薬剤師を含め、薬に関して詳しい知識のある方々にも効果を認めています。

ただインターネットでよく調べている人にセルニルトンは効かない、という人のページもあると言う方もいらっしゃいます。どの薬もそうですが、多くの人に効く薬も一部の方には効かないことがあります。そういう方には症状に応じて別の薬を追加するようにしています。

薬が効くか効かないか見極める期間は1週間〜2週間が適当と思われます。この間に多少なりともましになった方はさらに改善が期待できますが、全く良くならない方は変更が望ましいと思います。

慢性前立腺炎は感染症か否か?(2011年1月13日)

書きなぐった日記とは異なり、まとまった文章を書こうと思うとついつい間が空いてしまいました。思えば昔から、締切のない仕事はなかなかできなかった人間でした(締切のある仕事はギリギリ)。

さて、今回のタイトルは慢性の前立腺炎というのが、ばい菌がついて起こるのか、その他の原因でおこるのか、ということです。両方のものがあるといわれていますが、治療してみた印象ではばい菌を殺す抗菌剤という薬より、その他の薬の方が効果があることが多く、ほとんどのものはばい菌がついての病気ではないように思われます。大学病院などでこの病気を研究していた2〜3の友人はばい菌がついてのものが多いのではといいます。一生懸命どんな菌がついているかという研究をしている立場から見るとそうみえるのかもしれません。

私の印象では座り仕事で一日いすに座っている人、車を長時間運転している人、寒いところに立ちっぱなしの人などに多いような気がします。実際前立腺炎の治療をしていても、すわりっぱなし、長時間の運転、冷え、(あとお酒の飲みすぎ)は病状の悪化につながるように思います。

このたとえが正しいかどうかは判りませんが「正座をして足がしびれるような状態が、おしりで起こっているのでは?」という説明をしています。血の巡りの悪いことが多くの慢性前立腺炎の原因では?と考えています。

すべての前立腺炎がそうだと言っているわけではありません。明らかに菌が原因の前立腺炎もあります。そういうひとは抗菌剤(菌を殺す薬)が良く効きます。私の印象では10人にひとりぐらいでしょうか。

前立腺炎について考えてみる (2010年8月20日)

泌尿器科医院を開業した時、ある後輩から、「開業したら、外来ばかりするんですよね。慢性前立腺炎の患者もいっぱいきますよね。それはかなわないですよね。」といわれたことがあります。「どうして?」と尋ねると、「前立腺炎ってこころの病気じゃないですか。話は長いし、よくならないし。」と。また別の意見としては前立腺炎は感染症だから、まず2週間は抗生剤を飲んでもらって、よくなるものはよくなるし、そうでないのはなにをやってもダメというものもあります。ひたすら前立腺マッサージをする医師、マッサージによって得られた検体にどんな菌がまじっているかを調べる医師もいます。

確かに感染による前立腺炎という病気もありますが、わたしの印象としては多くない、と思っています。証拠は?と尋ねられれば、大病院でみているより、かなり多い数の前立腺炎をみていて、最初に抗生剤を使わずに(前立腺マッサージもせずに)みていますが、6〜7割の人がよくなったといい、残りのひとのなかにも、症状がよくなって、2度目の受診がない、という例も相当数あると考えられるからです(他のことで再受診した時に尋ねてみたりした経験から)。

最近いろいろな腫瘍疾患について診療ガイドラインというものができていますが、前立腺炎についてはそれがありません。これはまだ疾患概念が十分にさだまっていないことと、治療法が確立されていないためと思われます。前立腺癌、前立腺肥大症などはガイドラインがあります。検索をかけると5000ぐらいのガイドラインがでてきますが。

一方でインターネットの上では前立腺炎に関するカリスマともいえる医師のサイトがいくつかみられます。彼らの意見には賛同できる部分も多いのですが、中にはあまりにも特殊な意見、治療法(他の泌尿器科医に受け入れがたいような)も見受けられます。インターネットの上でそれが主流となってしまうのはちょっと、という思いがあります。

私は勤務医生活も長く、大きな病院でも小さな病院でも仕事をしたことがあり、診療所から大学までいろいろなところで泌尿器科医として仕事をしてきました。前立腺炎は研究の専門とは離れていましたが、手術より外来が好きだった私としては、長い訴えに付き合い、処方を工夫するのも好きでした。これから少しずつ綴っていく内容は、画期的なものではありません。ただ、なかなかよくならない前立腺炎の方に多少なりとも参考になるのではとは思います。

診療の合間なのでまずは前文のみで失礼。

ハルンケアの秘密 (2009年1月15日)

レディガードの秘密には結構なアクセスをいただいているようです。やはりテレビで大々的なコマーシャルを打っている薬には皆さん結構関心があるようですね。今回はハルンケアを取り上げてみたいと思います。

レディガード同様、ハルンケアにも元になる医療用の薬が存在します。八味地黄丸という漢方薬がそうで、前立腺肥大症などで以前は良く用いられていました。以前は、というのは今から十数年前に新しい薬が出て、前立腺肥大症の薬の主力はそちらに移っているのです。ただ薬というのは合う合わないがあり、今でもこの八味地黄丸が良いという方はいらっしゃり、肥大症の数%〜10%ぐらいの方にはこの薬を処方しています。この漢方薬は8種類の生薬からなっています。改めてハルンケアの成分表と比べてみると7種は成分が同じで1種類のみ、八味地黄丸で附子(ぶし)がハルンケアでは炮附子(ほうぶし)になっています。Wikipediaによれば炮附子とは苦汁につけ込んだ後後加熱処理したもの、となっています。附子というのはトリカブトからとる薬効成分で、おそらくはOTC薬にする上で(飲みすぎを恐れて)弱毒化した成分に切り替えているのではないかと考えられます。つまり大筋として八味地黄丸とハルンケアはほぼ同じものと考えてよいと思われます。八味地黄丸は粉末のエキス剤、ハルンケアは水薬で、八味地黄丸は1日3回、ハルンケアは1日2回の用法になっており、それでほぼ同量のエキスが含まれています。値段ですが、八味地黄丸は健康保険を考慮せずに1日約90円、ハルンケアは約800円(通販価格)になっています。健康保険を考えた価格は八味地黄丸は3割負担で27円、1割負担で9円ということになります。ハルンケアもレディガード同様、試してみるのはいいと思いますが、調子が良くて長期に服用しようと思ったら医者に相談してみるのがよい(ずいぶん安上がり)と思います。粉の苦手な方も他の良く効く薬を試していただいたらと思います。

レディガードの秘密 (2008年11月11日)

今年8月女性の頻尿、残尿感に有効というOTC薬(薬局で買える薬)レディガードが発売されました。この薬はどういう薬かというと私が医者になる前からある、塩酸フラボキサート(商品名ブラダロン)という薬で、男性、女性の別なく、頻尿の治療に用いていました。いい薬ではあるのですが、近年より強力な薬が次々と発売されたこともあって、泌尿器科医が処方する割合は減少傾向にあると思います。ただ強力な薬はおしっこを出にくくする心配もあって使うのに注意を要します。

この薬は成人女性専用をうたっていますが、男性に効かないわけではありません。ただ男性の頻尿には尿がでにくい初期症状である場合もあり症状を悪化させてしまうことを恐れて女性専用としているものと思われます。

この薬は1錠約100円〜120円で売られているようですが、医療用の薬は(健康保険を別として)56.9円、ジェネリックは約40円で売られています。つまり薬代だけなら3割負担で12〜17円、1割負担なら4〜6円弱になるのです。もちろん、医者にかかった場合は診察料や処方料が必要なので錠数によっては薬局で買ったほうが安くなる場合もあるでしょうが、健康保険のことまで考えると効果があった場合、継続する場合は健康保険を使って医者にかかる方が圧倒的にやすくなると思います。他の病気が見つかったりするメリットを考えると薬局でこの薬を買うメリットはなんなのでしょうか。

長い間待つのがイヤ、自分の排尿の状態を説明するのがイヤなどというのなら、ある程度はわかります。ためしに薬局で買ってみて(ぜひ割高でも少ない錠数のものを)、効きが悪ければ泌尿器科へいき相談、効きが良ければ泌尿器科に限らず近くの内科でもいって、フラボキサートを出してください、といっていただければよいと思います。長いことレディガードを飲むのに比べるとずいぶんお金の節約になるでしょう。

そうではなくて、「泌尿器科にいってパンツをぬがされるのがイヤ」と思って薬局に行くとしたらそれは大きな誤解です。おへその下に超音波の機械をあてて、残尿をみたりすることはありますが、頻尿の治療の主要な部分は問診と排尿状態を記録した日誌で行います。日々安くない健康保険料を払っていることを思い出して、相談していただけるのをお待ちしています。

院内処方と院外処方 (2008年4月2日)

当院では基本的に院内で処方しておりますが、当院に置いていない薬を処方する場合や、ご希望があれば院外処方にも対応させていただいております。どちらがいいのかというのは難しい面がありますが、当院においてはすぐ前に薬局をやらせてほしいという希望が出るほど患者数も多くなく、受診される方の便利のため院内処方をさせていただいています。
院外処方のメリットは薬に関する薬剤師の説明が受けられることが1番と思われます。われわれも自分が使う数少ない薬については詳しいつもりではありますが、どの分野でもその道のプロというのは詳しさが違うと思います。また、複数の医院からの処方を見比べて、飲み合わせの問題を指摘してもらったり、医師の気づかない処方の問題点をみつけてもらえることもあるのかも知れません。
逆に院内処方のメリットはどこにあるでしょうか。一番は手軽で待ち時間の短縮につながることでしょう。またかかる費用も院外薬局に比べれば結構安くなります。
それぞれのメリットが考えられるわけですが、両方のメリットを活かす方法として院内処方を基本としながら、希望があればいつでも院外処方を出すというのが考えられるのではないかと思います。1度は詳しく薬剤師さんの説明を聞いていただき、その後落ち着いてからは窓口で手軽に安く、薬を受け取るという方法です。
そういう方針で考えていますので、一度薬剤師の先生に説明を聞いてみたいなど院外処方を希望される方はいつでもそういっていただければと思います。当院の電子カルテはスイッチひとつで手間なく処方を切り替えることができます。医院のすぐ前に薬局があるわけではありませんが、少しでも早く薬を作ってもらえるよう、ご希望の薬局にFAXも送らせていただきます。

新しいED治療薬 シアリスについて

9月12日に第三のED治療薬としてシアリスが発売されました。この薬は36時間という長時間有効ということで、従来の薬が1時間ぐらい前に、空腹の状態で服用という制約があったのが、夕食前にあせらずに飲んでおくことができるということのようです。「ことのようです」というのはいかにも無責任なようですが、今のところ処方して飲んだ人の感想をまだ聞けておらず、(こちらからは積極的には勧めず)希望があった方だけに処方しており、2度目の受診を待っているのが現状です。製薬会社のMRさんや治験に参加した先生からの情報が本当かどうか、私も楽しみ?にしています。値段(当院への問屋さんからの仕入れ値)はやや高く、当院での値段設定は通常の量である10mg錠は1500円、20mg錠は1800円とさせていただきます。
いままでどれをのんだらいいのでしょう?と尋ねられたら、バイアグラとレビトラを少しずつ持って帰ったら、と説明していました。こんどからは迷う方には3剤を1〜2錠ずつ試してみてはと勧めてみようと思っています。

メタボリックシンドローム その5 1ヶ月に1kgやせるためには(7月28日

この項は特定健診・保健指導の講習会で勉強してきたことの受売りです。1kgの脂肪組織はカロリーに換算すると7000kcalになり、これを1ヵ月でなくすためには摂取するカロリーをこれだけ減らすか、運動により通常の生活より消費するカロリーが7000kcalに達するようにしなければなりません。一日あたりは233kcalになります。これは自転車でいうと20分ぐらいまあまあの負荷でこいだ消費カロリーになります。これだけ運動するのはさほどむつかしいことではないのですが、のどもかわけばおなかもすくし、なにより「今日はずいぶん運動したからま、いいか」と食べたり飲んだりするのを差し引かないといけません。私の運動量は1ヵ月2kgは減っていて不思議はない量ですが、1kgはやせません。本当におそるべき食欲、おそるべき意地汚さと思います。私の推定ですが、毎日の平均の運動は500kcalで体重維持の摂取カロリー+400kcalは余分に食べていて100kcal分ずつやせて行っている、おそらく1ヶ月300〜400gといったところと思っています。この仮説が正しければ、自転車に乗らねば2kgずつ体重は増えてしまうということになるのでしょうか。運動しておいしく食べるというのも悪くはないのですが、もう200〜400kcalは控えた方がよさそうです。

メタボリックシンドローム その4 フライドポテトのカロリー(7月25日)

先日勉強してきた特定健診・保健指導に関する講習会で勉強になったことのひとつにマクドナルドでは商品のカロリーをホームページ上で公開しており自由に見ることができるというのがありました。その中でフライドポテトのカロリーは想像以上に高いことを話されていました。私もそうですが、ハンバーガーふたつは食べすぎだろうが、ひとつでは足りない、フライドポテトのMかLを添えて食べようかなどという発想はよくあることではないかと思います。ところがハンバーガー251kcal、チーズバーガー303kcalに対してポテトのMは420kcal、Lサイズに至ってはハンバーガー2個を越える529kcalあるのです。揚げ物がカロリーが高いということを漠然とは知っていてもここまで高いと思っている人は少ないのではないでしょうか。先生もおっしゃっていましたが、食べたものの全カロリーを計算して適正化するというのはむつかしいと思います。ただ、よく食べるものやいつも食べているものと比較しやすいもののカロリーの概略を知っておき、これを余分に食べれば何カロリーの摂取、これをやめておけば何カロリーを節約(節約というのはおかしいかも知れませんが)、などと考えならがら食べ物をとり、可能な範囲で油ものや油で揚げたお菓子、ラーメンなどをとるのを控えていくのが正しいダイエットの一歩かと思います。

メタボリックシンドローム その3 メタボの兆候

がんなどの悪性の病気ほどではなくても糖尿病や高血圧、高脂血症のような病気は早く見つけて早く対策をたてるほどよくなるのも早く、一生薬を飲み続けたり、合併症に悩まされる可能性を低くすることができます。国は医療費削減のために勧めている特定健診ですが、個々の健康のためにもメタボの兆候を早期発見し食生活や運動生活の軌道修正を考えるのは大切です。
普通に考えて当たり前なのは、体重増とベルトまわり(腹囲)の増加です。30代の時にはなかなか検査データには現れないのですが、体重や腹囲が増えれば元に戻す努力が必要です。腹囲も85cmを下回っているからよしではなく、20代(せめて30代)の体重、腹囲に近づける努力が必要です。
メタボの診断基準としては腹囲のほか、血圧や血液検査で判定するわけです。医者としてより自分の経験からですが、正常値にあっても正常値内での変動が結構重要で、少しずつ数値があがっているようならそのときから対策を講じても早すぎることはありません。特に最低血圧が80台になったり、空腹時の血糖が100を越えたりした場合も(診断基準を満たすわけではありませんが)対策始動してもいいのではと思います。そのほか、これは世の中の診断基準にはありませんが赤血球数や白血球数が多め、というのもメタボの前触れとして現れてくるように思います。こうしたデータも1年前、2年前に比べて増加しているようなら注意が必要です。
最近では生活習慣病になりやすい体質、遺伝情報を検査することもできるようになっています。先日検査センターの方が見え検査内容につき説明して下さいました。体質を調べて注意を喚起することに意義があるとのことでしたが、私の見解からいえば、多額のお金をだしてこの検査をするよりは健診での血液検査やその他の機会の血液検査の結果をグラフ化して(正常値であっても)グラフの向かう先を予測していく方が現実的で有効な予測ができるのではと思います。

メタボリックシンドローム その2 私がメタボになった時(7月18日)

振り返って、30代の時から私は太めではありましたが、血液検査の異常や血圧の異常は全くなく、そういうことは自分には関係ないと思っていました。振り返って、大きな転機はある事情から深夜にラーメンを食べに行くようにになったのが大きな原因だったと思います。考えてみれば夕食は普通に食べて、800〜1000Kcalはあろうかというラーメンを寝る直前に食べるなどというのは、今から考えればメタボをつくるための実験であったように思います。やせるときもそうですが、太るときもなかなか目に見えてはわからないもの。しかし気がつけば数kgの体重増と肝機能GPTの軽度上昇、正常範囲内での血糖の上昇などを認めました。血液検査の異常で言うとあまり世の中では言われていませんが、赤血球や白血球の数が比較的早期に多くなるように思います。血が濃いのは健康なのでは?と医者でありながら思っていたのはなかなか恥ずかしいことでした。また別に整理したいと思いますが、異常値がでるまえにメタボの兆候を察知することは可能と思われます。また特定健診では対象は40歳以上となりますが、20代のときから生活習慣を正し、30代の時から各種検査で早期発見〜早期生活是正を図ることが(医療費の削減のためでなく)健康な生活への近道のようです。

メタボリックシンドローム その1 特定健診と保健指導講習会(7月15日)

土曜日が原則として半日仕事をしているわれわれとしては日曜日は貴重な休日なのですが、6月に2回の土日のすべてを費やして健康スポーツ医の講習を受けてきたのに続き、7月15日の日曜日に特定健診・保健指導に関する講習会を受けてきました。開業するまで健診制度に関し大変疎かった私ですが、開業してからは自らの健康問題も含め、よりよい健診に取り組むためがんばっています。
さて、来年から健診制度が大きく変わるわけですが、一つ目の変更点は健診制度の主体が市町村や企業などから、保険者(健康保険のお金を働いている人々から集めて、給付をする団体)に変わることのようです。すなわち、予防医学に力を入れて病気のひとを減らせば、保険者から出て行くお金も減るのでメリットがあるでしょうということです。二つ目の変更点は今までは異常を見つけて知らせることまでで終わっていたのが、生活習慣病、特にメタボリックシンドロームを発見して高血圧、高脂血症、糖尿病などの病気にならないように「保健指導」をするところまで健診でやっていこうということのようです。
果たしてこうした試みがうまくいくのかどうか、わからない部分もありますが、こうした枠組みを一生懸命つくっていらっしゃる、今回の講師も務めてくださった先生の熱意をひしひしと感じました。実際開業してから、尿路結石や尿糖などから生活習慣病がみつかり治療している方々も何人もいらっしゃるわけですが、こうした方々が知らない間に心臓や脳の血管が詰まったり、腎臓が悪くなったりするのを防ぐよう生活指導するのもわれわれの務めではあるわけです。
泌尿器科が専門のお前にそんな指導ができるの?という声も聞こえてきそうですし、ひとの指導をする前にまずお前の健康管理をしろよ、という声も(これは具体的に)聞こえてきます。
言い訳をしますと、尿と常に向き合っているわれわれはしばしば未治療、無症状の糖尿病に遭遇しますし、尿管結石からみつかる高尿酸血症も、高脂血症や糖尿病を伴うことが多くみられます。また糖尿病や高血圧は腎を悪くすることがあるのですが、その初期段階において蛋白尿がみられるのです。そうしたことからこうした生活習慣病に関しては泌尿器科医は結構診ているのです。
またメタボの入り口にいる私に指導ができるか?という点に関しては、自制心が強くメタボに縁のない先生よりわかる部分も多いのではないかと思っています。一旦はメタボの入り口というより玄関先まで上がりこんで血圧の高値や肝機能異常、高コレステロール、食後高血糖などの世界をちょっとみてきて、そこから自転車と心拍計を用いて入り口まで戻ってきた私、おいしいものが大好きでともすればオーバーカロリーに陥り、一生懸命運動でつじつまを合わせている私のほうが理論派の先生よりも役に立つ部分もあるのではないか?そう思います。
キーワードは楽しく運動することがひとつ、努力が数値化できるメカを持つことがひとつだと思います。万歩計はだれしもがすぐイメージするところなのでしょうが、日々の生活の消費カロリーをあげるには有効でも、運動能力や心肺機能の向上を測り、その向上を喜ぶには不十分です。ずっと私のコラムや日記を読んでいる方はしつこいやつだなと思うかもしれませんが、心拍計こそ楽しく(かつ安全に)運動するにはかかせないものと思います。これはジョギング、ウォーキング、水泳などいろいろなスポーツに使うことができますし、自転車に乗ってみようという方にはサイクルコンピュータ(速度、距離、平均速度などを表示できるもの)との併用がお勧めです。実際私は全く食事制限なしに(おそらく300〜400Kcalずつオーバーカロリーの食事をしながら)体重、腹囲の減少、血圧、血液検査の改善を果たしています。(本当は食事制限しながらの方が楽なのだとは思いますが、口がいじきたないので。)
コラムも長らくサボっていましたが、ちょっとまたがんばってみたいと思います。

花粉症の治療

正直にいいますと私は決して花粉症に詳しいわけではありません。風邪薬と同様、ほとんど1からの勉強になりますが、花粉症シーズンに備えた勉強の成果を花粉症に苦しんでいる方々にも参考にしていただければ幸いです。
花粉症の症状については医療関係の方でなくてもよくご存知のとおりで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが代表的な症状で、時に集中力の低下や倦怠感、熱感などがみられることがあります。風邪との鑑別に困ることもありますが、症状が長期に続く、熱がない、鼻水がさらさらしているなどの特徴がみられれば花粉症を考えたほうがよいでしょう。検査としてはIgEをはかる方法、皮膚反応で抗原を調べる方法がありますが、後に述べる根治的治療を考えないのであれば検査は必要不可欠では無いのかも知れません。(専門家には怒られるかも知れませんが検査は治療の選択枝を考えてと思います。もしかするともう少し勉強していくうちに「こういうケースは早めの検査を」と考えるようになるのでしょうか?)
さて、花粉症の治療は大きく対症療法と根治療法に分かれます。症状を抑えるだけより根本的に治すほうがよいに決まっていますが、根本的に治すのはなかなか困難なこともあり、現在の治療としてはほとんどの方に対して対症療法が行われます。花粉症の症状はヒスタミンという物質により引き起こされるため治療には抗ヒスタミン剤と呼ばれる薬が用いられます。最近では抗ヒスタミンの中でも選択性を高めた薬(ねむけを起こしにくく効力が強い薬)が抗アレルギー剤という名前で発売されています。飲み薬、点眼薬、点鼻薬がありますが、飲み薬については(抗アレルギー剤の中でも)特に眠くなり難い、一日一回ですむ、効力が強いなどそれぞれに宣伝文句があります。当院では眠くなり難く、一回ですむ薬(クラリチン)と効力が強いといわれる薬(アレグラ)、一日一回で済み値段が比較的安いジェネリック薬(ヘルボッツ)の3通りを用意しています。点眼薬、点鼻薬はそれぞれ信頼できる友人の眼科医、耳鼻科医に相談の上、推薦の薬(パタノール、フルチカゾン)を使用しています。あと、漢方薬として小青竜湯が効くという話があり、希望があった方に試してみましたが大変調子がよくなったとのことでした。漢方薬に限らず薬の常としてだれにでも効果があるわけではないとは思われますが、ご希望の方がいれば試してみてはと思います。
花粉症の根治療法には減感作療法があり、標準的な治療としては抗原を特定し、継続的に注射をしていくというものがあります。ネットを通じての情報収集ではありますが、スギ花粉以外のエキスが入手困難(?)で複数のアレルゲンに反応する方には不向きであるとか、数年にわたり注射を繰り返すので治療の苦痛が強いとか、治療できるアレルギーの専門家が少なく、どこでも治療できるわけではないなどの記載がみられました。また注射をしなくてすむ減感作療法も欧米では行われており、日本でも一部の研究施設では試みられているようですが、保険適応はまだないとのことです。数百万人が苦しんでいるといわれる花粉症ですが、完全に治すのはまだまだむつかしそうです。今のところは大部分を占める軽症の花粉症においては抗原(多くの場合はスギ花粉)をさけ、戸外から家の中に持ち込まないようにして、ストレスの少ない生活をおくることと対症療法薬を使っていくほかはなさそうです。
重症の方に関してはアレルギー専門医や眼科医、耳鼻科医への紹介も必要と考えています。症状の程度と生活にどのくらい支障がでているかを、じっくり話を聞きながらどのように治療していくべきか希望を尊重しながら相談して行きたいと思います。

風邪薬の研究 その7 症状別風邪薬の秘密

症状別に違う構成を持つ薬で最も有名なのはベンザブロックでしょう。(よく効くという意味ではなく、大メーカーが作り、大々的に宣伝をして販売しているという意味で。)ベンザブロックには黄、銀、青の三種類がありそれぞれ「鼻から来る人に」「のどからくる人に」「熱からくる人に」とうたっています。これらの共通成分と独特の成分を見てみたいと思います。
黄色のベンザブロックSは「3種の成分のはたらきで鼻水・鼻づまりを抑えます」とあり、三種の成分とはヨウ化イソプロパミド、マレイン酸クロルフェニラミン、ヘスペリリジンで、この他に無水カフェイン、アセトアミノフェン、リン酸ジヒドロコデイン、トラネキサム酸、塩酸メチルエフェドリンを含んでいます。
銀のベンザブロックLは「のどの痛みのことをよく考えた処方」とあり、主要な成分として塩酸プソイドエフェドリンとイブプロフェンをあげ、黄色と共通の成分としてマレイン酸クロルフェニラミンとリン酸ジヒドロコデインを含んでいます。
青のベンザブロックIPは「発熱・さむけによく効く処方」とあり、主要な成分としてイブプロフェン、ヘスペリジン、ビタミンCをあげ、黄色との共通成分として無水カフェイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリンを含んでいます。

さて成分のほうから整理してみると、
3種すべてに含まれているものはリン酸ジヒドロコデイン(咳止め)
黄色と銀に含まれているものはマレイン酸クロルフェニラミン(抗ヒスタミン剤)
銀と青に含まれているものはイブプロフェン(解熱鎮痛剤)
黄色と青に含まれているものはヘスペリジン、無水カフェイン、塩酸メチルエフェドリン
黄色だけに含まれているものはヨウ化イソプロパミド、アセトアミノフェン
銀だけに含まれているものは塩酸プソイドエフェドリン
青だけに含まれているものはなんとビタミンCなのです。
まずはそれぞれの独自成分に着目してみます。我々(臨床医にとって)あまり聞きなれないヨウ化イソプロパミドですが、調べてみるとこれは抗コリン薬でした。以前鼻水を止めるのに大変有効であったダンリッチという薬にも含まれていた成分です。おそらく鼻水を止めるのにはかなり有効なのでしょうが、この薬(ダンリッチ)は同時に尿閉(おしっこがでなくなる)を起こすことでも有名な薬でした。緑内障や高度な前立腺肥大症の方には問題があるかもしれません。アセトアミノフェンに関しては穏やかな下熱鎮痛剤としてイブプロフェンの代わりに入っているだけで、特別鼻水、鼻づまりに効くというわけではないでしょう。
銀だけにはいっている塩酸プソイドエフェドリンが塩酸メチルエフェドリンに比べてどのように作用が違うかはわかりませんが、エフェドリンの作用を考えるとのどの痛みに特別効くというわけではなさそうに思えます。まして、青だけに入っているビタミンCは???です。発熱などで風邪のときに消耗しがちなビタミンCを配合、とありますがそれで発熱、さむけによく効くといえるのでしょうか。

今回の研究では症状別に薬を使い分けるのにOTC薬の成分構成を参考にしよう(真似しよう?)と思ったのですが、どうも(全体として)大きな違いがないように思われるのです。
いちど配合を考えた方に聞いてみたい気もします。風邪薬に詳しい方がおられましたら教えていただけましたら幸いです。(できましたら武田の開発もしくは広報の方からのおたよりをお待ちしています)

風邪薬の研究 その6 風邪薬の昼用、夜用

薬局で売られているOTC風邪薬の中には昼用、夜用が分けてあるものがあります。これがどうなっているのか気になって薬局に出かけてみました。(不審客が気になったと思いますがスギ薬局尾西三条店の薬剤師さんスミマセンでした。ここは風邪薬の品揃えがとても多く参考になりました)
昼用、夜用が分けてあるものは2種類あり、1種類は夕食後に服用するものから(目を醒ます作用のある)カフェインを除いてあり、もう一種類は夕食後に服用するものからカフェインを除いた上、薬の量をすべての薬効成分について半分にしてありました。
私が医院でカフェインを積極的に処方することは少なくPL顆粒を出すときぐらいでしたが、多くのOTC薬にはカフェインが含まれており、必ずしも(カフェインが有効であると記載のある)風邪による頭痛をターゲットにしているわけではなくさそうです(鼻水用、咳・痰用にも必ず入っている)。一方カフェインにはコーヒーなどでよく知られているように軽い興奮、覚醒をおこす作用があります。
ここから先は私の想像ですが、(日本においては)風邪をひいたとき多くの人々は風邪薬に「薬をのんでしゃきっとして仕事をする」ことを求めており多くのOTC薬へのカフェインの配合はそれにこたえてのものではないかと思うのです。本来純粋に「風邪を早く治す」という観点からは、カフェイン抜きの風邪薬を出してゆっくり休んでもらうというのが正しいのかも知れませんが、私としてはこれから風邪で受診の人には質問項目を増やしてみたいと思います。結果を聞いてカフェインを入れるかどうか相談します。
あなたはこれからゆっくりやすめますか?それとも仕事や勉強にでかけますか?

コラム(風邪薬の研究 1〜6 掲載中)
トップページ